*  経ち消えて  *

川で泳ぎ、幸福感に満たされ、家に戻る

籠に入った昨晩のお皿を片付けながら、コーヒーのドリップの準備をする

いつもの一連の動きに、意識はリラックスし、フォーカスされていく

タンブラーにコーヒーを注ぎ、机へ向かう

この瞬間、意識の所在が、別の場所へと移る

ゾクゾクとする

これから解放することへの快感が、すでに始まっている

アンプの電源を入れ、音楽をかける

朝の執筆のための、いつもの音楽

流れを呼び込むための、調べ

パソコンを開き、文章を綴る

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その瞬間までは、「今日は何を書こうか」と、題材が見つかっていないことも、多々である。

 しかし、日記ということで、お決まり文句の「今日は〜」というところから、とりあえずでも、書き出してしまえば、昨日までの水脈にまた出会える。一晩に溜まった落ち葉を、そっと取り除けば、また、ちょろちょろと、流れ始める。意識は、いつもの音楽を糸口に流れに入っていき、しばし注ぎ込み続ければ、水脈の流れは確かなものになってくる。ある程度の水量が生まれたのならば、あとはその流れに、身を任せるだけだ。ただ、ただ、流れていく。

習慣化の推進力を得ている

いままで、執筆したくても、続かなかったのは、どうしてだろう

執筆に限らず、埋没した、あれや、これやの、素敵なアイデアたち

流れが、止まってしまったと考えずに、

手を動かして、落ち葉を取り除いてしまえばいいだけのことだった

「よし、落ち葉を取り除くぞ」

との考えも、習慣化の景色の中に、馴染み、消えていく

もう、そのことを考える必要もない

勝手と、手が動いている

意識が経ち消えた、老師の、自然な動き

思考の幅を、点へ、そして、無へ

在る

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