*  『 Keiko Forest とのお話会』 *

*   に寄せて   *

*   ◯  *

 

 

彼女との出会いは、彼此もう10年以上も前になる。2008年の初春のことだ。ぼくは、その数ヶ月ほど前に、ネイティブ・アメリカンが主催するPeace Walkがあると聞き、彼らと共に世界平和を祈り、歩きたいとの思いは抑えきれず、日本からサンフランシスコへと飛んだ。そこで、現地で日本からのWalk 参加者をホストしてくれていたのがKeikoちゃんファミリーだ。彼女の家は、サンフランシスコから地下鉄に乗って湾を渡った、バークレーという街にあった。空の長旅後、馴れぬ土地に降り立ち、これから初対面の人のお家にお世話になる緊張と、旅の疲れに身を強ばらせていたぼくだが、駅に迎えに来てくれていた彼女のビックスマイルを見つけたとたんに、そんな気持ちはいっぺんに和らいだ。彼女の足下には、小さな娘たち二人が踊るように飛び跳ねていた。きらりと光る彼女とのひとしずくの出会いは、これからの旅のすばらしい予兆そのものであった。その波紋は、その旅だけにあらず、その後の人生にもずっと広がっていっている。

 

 

西海岸の朝、窓から降り注ぐ光りは、とても清らかなものだった。昨晩、リビングのソファーに広げてもぐりこんだ寝袋の中から、その空間に充ちているものを見つめていた。朝の光りの中、改めて目にするKeikoちゃんの家は、ぼくが興味あることをぎっしりと詰め込んだ、宝箱のような家だった。壁に掛けられた絵、窓際の植物、ソファーのクッションのテキスタイル、部屋に流れる音楽、などなど。なかでも、キッチンは、その凝縮度が特別だった。はじめて目にする食材や調理器具達。すべて木で揃えられた食器にカテトラリーに盛られた朝食。Keikoちゃんファミリーは、小さな娘達も揃ってRaw Foodを実践していた。このキラキラとした朝の食卓には、なにか『食べること』だけ以上の喜びに、精神性をも味わせてもらえるものだった。

 

 

この感覚は、バークレーの街の中にもそのまま広がっていた。ファーマーズマーケットには新鮮なローカルのオーガニック野菜が並び、売り手の生産者の人びとの笑顔が野菜をより一層美味しく引き立たせていた。スーパーに行っても、沢山のオーガニック食品が立ち並んでいた。食材を買い揃えた後には、cafeやSweets shopにも連れて行ってくれた。Raw Food専門のレストランもあったのは驚きだ。どこも、同じような清らかな空気が流れていた。そして、人びとは、魅力的であった。

 

 

Keikoちゃんの案内によって、さまざまな、新しい食やライフスタイルとの出会いを堪能した日々であった。食に関して言えば、味に魅了されたのはもちろんのことだが、いまでもありがたく、大きく影響されているのは、そうした人びとが持つバイブレーションを直に感じられたことだった。そこには、とても心地のよいバイブレーションが常に流れていたのだ。そのことにとても魅了され、その姿にとても憧れた。それは、その後のぼくのライフスタイルの大きな指針となるものであった。なかでも、keikoちゃんファミリーが、家族揃ってその姿を見せてくれていたのは、なにかしらの確信を与えてくれた。

 

 

あれから、彼女のファミリーはHawaiiの大自然の中へと移り住み、さらなる暮らしを紡いでいっているとのことだ(ぼくは、まだ、その場所を訪れたことはない)。10年前に一緒に過ごした時から、いまの彼女の意識の光りが照らし出している先は何なのかと、改めて聞いてみたいと、ここ数年ずっと思っていた。なので、こうして、お話会の場を持てるのは楽しみでならない。そして、それ以上に、はじめて出会ったあの時のように彼女とのインスピレーションに溢れる会話から、学びを得られることを思い、ワクワクとたまらない想いなのである。

 

 

 

*  *

*  *  *

*  *  *  *