『 ー ある若い植物学者が、新しい植物を発見しようと熱帯雨林に出かけ、道案内に先住民のガイドを雇う。植物学者が何を探しているのかを知る道案内は、珍しい生物を見かけてそれを植物学者に教える。植物学者は彼の能力に驚き、怪訝な顔で道案内を見る。「おいおい、君は随分たくさんの植物の名を知っているな」。道案内はうなずき、うつむいたまま答える。「はい、名前はみな覚えましたが、彼らの歌う歌はまだ知りません」  』

 

BOOK:『植物と叡智の守り人』より

* * *

日曜日の断食DAY(食とデジタルのスイッチOFF)を挟んで、迎えた月曜日の朝。

いつもなら、朝の作務のスタートに音楽再生のスイッチを押すのだが、その手をふと止めた。

今朝は、身のうちに静けさが広がっている。

戸の向こうからの、鳥の囀りや、川の流れが、よく響いている。

いつもより、いのちの音がたくさん、聞こえる。

その音に、もっとそば耳をたてていたい。


昨晩の読書で出会った一つの言葉、『植物の歌う歌』。

わずか数文字のこの言葉に、どれだけ壮大な世界観が込められてたのだろうか。

その世界観が、一晩経っても、この現実を覆っている。

いつもの朝の時間であったが、

いつもと違う歌が、そよぎ、聞こえてきていた。

わたしは、その歌に耳を、傾け

スピーカーに伸びる人差し指を、とめた。

昨日は、午後からの晴れ間に、随分と外仕事をしたもので、

野山・畑の様子を覗きに行くのが楽しみだ。

なんだか、畑・野山へ向かうその足が、

植物たちが集うその場所へ、お邪魔させてもらうような気持ちになっているのも、

今朝の、もう一つの変化であった。

『植物の歌う歌』

何とも言えぬ、不思議なひびきである

とても神秘に満ちている

知りたい

野山へ向かいます

* * *

IMG_3695 3

『 ー 「より深い真実を象徴するものとして、比喩は神聖なものと言ってよい。なぜなら、現実世界の広大さと豊かさは、言葉の表層的な意味のみで表現することは不可能だからである」』

IMG_3696 3

『 ー ある学者は、先住民族の考え方によれば、私たちが何かを「わかった」と言えるためには、私たちという存在の四つの側面 ー 知性、肉体、感情、そして魂の全てでそれを理解することが必要なのだと書いている。科学者としての教育を受け始めたとき、私はすぐに、化学はそのうちの一つ、またはぜいぜい二つしか大事にしていないだということを痛感した。知性と肉体である。でも、人間は、その四つの全てがあってこそ美しい生き方ができるのだ。』

BOOK:『植物と叡智の守り人』より