4月19日 34歳誕生日。ついに、ついに、おおつかたく庵のオープンの日。TABI食堂の道具を車にのせて、大慌てで大塚に到着。机にイスに奇麗に並んだお店の様子に感動する。珪藻土と木の温もり、とっても心地よい空間になっている。イメージしていた以上の出来映え!!

その中に大きなひょうたんランプ。あれ、何処から?「BUNさんが持ってきてくれたんだよ。」とヒロ君が教えてくれる。「え、BUNさん?」。

そう、BUNさんはぼくがこの10年近く、一時も手放さずに一緒に旅をした楽器・カリンバを作った人、そして、憧れのカリンバ奏者である。

お友達の写真家、杉山正直君がBUNさんに合同展示をしましょうと誘ってくれていたのです。

カリンバの演奏をはじめてみたのは、大学を1年間休んで旅して、ネパール・カトゥマンズにいた時のこと。偶然通りかかったレストランの中庭で日本人のグループがライブをするというので見に行ってみると、見慣れない小さな楽器から、聞いたこともない奇麗な音が出ていた。ふわふわとした音に揺られて、「こんなに格好良い日本人もいるのだな」と旅をし始めたばかりの22歳のぼくはつぶやいた。

日本に帰ってきてしばらくしたころに、渋谷のお店でBUNさんのカリンバを発見!「あ、あの時のネパールにいた人たちのカリンバだ。」と心ときめく。それから、渋谷に幾たびにお店を覗いては手に取って音をならしてみて、「あーいいな。。。」と胸に思いを閉まって、こつこつと大学卒業後の旅の資金を貯める日々。

晴れて大学も終わり、中米へ馬旅に向けて出発する前日、「いままでアルバイトも頑張ってきたし、自分へのご褒美にカリンバ買ってもいいかな?」とバイクの後ろに乗る彼女に相談したところ、「絶対買った方がいいよ、絶対後悔はしないと思うよ。値段以上の楽しいこと一杯だよ。」「うん、ぼくもそう思うよ、今から買いにいこう!」と何年越しかの想いを叶えて、コスタリカへと旅立ちました。

コスタリカのハンモックに揺られて、カリンバをポロンポロンと弾いては、知らぬ間にお昼寝をして、あらまとまたポロンポロとカリンバを鳴らす。数日前までの日本での慌ただしかった日々が嘘のようだけど、日本から連れてきたカリンバはこの手の中にちゃんとある。ポロンポロンとカリンバは、馴れないぼくのスペイン語のかわりに、周りの人の心に話しかけてお友達を作ってくれた。

いざ馬に乗っての旅の始まり。暑い日中の日差しをさけて木陰での一休みに、ショルダーバックからカリンバを取り出して、ポロンポロン。疲れた一日の終わり、夕食後の残り火にうたれながらポロンポロン。なんだか寂しい気分、星空の奇麗な空の下ポロンポロン。

馬旅にも大分馴れ、ぼくと馬のTABIの足取りも大分軽快になってきたのと合わせて、カリンバの音もリズムがよくなってきた。カリンバの音から広がるバイブレーションがその場にいる人たち皆なを包んでくれる。馬のTABIもこの音を聞くとご機嫌の様で、彼の背中に乗っているときも、カリンバをよく弾いたよ。

いままで音楽を全く習ったことがなかったぼくだけど、『心の音を鳴らす』と言われているこの魔法の楽器のおかげで、どれだけぼくの旅の行き先を明るくしてくれて、彩りを豊かにしてきてくれたことだろう。

ぼくの人生をこんなにも豊かにしてくれたカリンバを作ってくれたBUNさんには、ただただ感謝の気持ちで一杯です。

4月21日 この魔法の楽器に導かれ、巡り巡って、思い焦がれていたけど全く予期していなかったBUNさんとのセッションが、おおつかたく庵の完成を祝う日に叶いました。感無量です。BUNさん、ありがとうございました。

この日は、東京の沢山の友人たち、コスタリカで一緒に馬で旅をしていたタカコやメメ、それにぼくの家族も演奏を聞いてくれました。大切な人たちに、ぼくの歩んできた道を、カリンバの音で聞いてもらえたことがとっても嬉しかったです。

Liveの様子を、これまたヒロ君が映像に残してくれていました。ぼく自身は演奏中は音に浸って目をつむりっぱなしなので、映像で改めてみんながカリンバの音に包まれて幸せそうな顔をしているのを見れて、またまたとっても幸せになりました。

これからも音を奏でていきたいです。

 

『2013.4.21 Kalimba Live by Bun & SasaTakuya @ おおつかたく庵 その1』

『2013.4.21 Kalimba Live by Bun & SasaTakuya @ おおつかたく庵 その2』

◎BUNさんのHPはコチラ http://www.medialabo.co.jp/moon/