TABI食堂と名を売り、方々を廻る。
食を作り、音を奏で、旅をする。
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食に関わる仕事をしていて思うのですが、「満たされる」とはどういうことかと思うのです。
それは、音を奏でることとも同じなのですが。
ぼくは、どうしようもなく、無性に、自然一杯のところに身をさらしてひと時を過ごしたい衝動に駆られます。出来れば星空の下そこで一夜を過ごして。 そうして、心と体を満たすのです。それは同時に、空っぽになることでもあって。
満たすとは、どういうことかと考えると、「体の振動をどの波長に調律させるか」ということなのかもしれません。自然に身をさらした時のなかで、都会の波長から、自然の波長へと細胞の震えが調律されていくのです。そうして、調律が整い、共鳴が生まれたときに、それはもっともっと大きなものとの共鳴が生まれたときに、満ち満ちた感覚が内から沸き起こるのです。それは森の湧き水のほとりのように、惜しむ必要がないくらいに、ただただ溢れ出るのです。
「どの波長に調律するか」と考えれば、料理のことも、音楽のことも、そして瞑想のこともよくわかるような気がするのです。「どんな波長に自分が整えられたときに、体、思考、心、精神の全てのレベルに置いて満たされたと感じることができるのか」と考えるのです。
我々という存在は、この体の内でそこにある景色や音そして人々と共鳴し、また自身の振動を外に伝え影響を与えることの出来る存在なのです。
そうあれるように、調えてゆきたいのです。
ー しばしの東京出張から、北の山を訪れて ー