* 暮らしの物語  *
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 世界を旅をしてきて、こころがどうしようもないぐらいに、ときめいた瞬間を思い返してみる。

それは、世界のどんな場所であろうとも、その土地の、人々の暮らしに出会った瞬間だった。

大地に根を張り生きる姿に、畏敬の念と、安堵の気持ちを抱いた。

手の温もりが残る、質素な暮らしの佇まいに、こころ惹かれた。

人々の生きることへの信念が具現化された、暮らしの清貧さに、美しさを見た。

魂が震えた

優れた芸術には、触れたもののこころに、何かを歓喜させる力があるという。

そして、圧倒的な芸術には、創造の力を、人々のこころに呼び覚ますという。

ぼくは、人々の暮らしの中に、圧倒的な美しさを見たのだ。

そして、我が気持ちは、自身の暮らしへの創造へと、はち切れんばかりになっていた。

今の暮らしへと導いて行ってくれた、人々の=暮らし=の物語を語ります。
 
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 Swimming with Dolphins
2010
in New Zealand
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こちらは、雨が降り続いています。こちらの冬は、雨降りの季節のようです。
冬、冬、と言っていますが、先日、見事に晴れ渡った日に、ヨットでセイリングに連れて行ってもらいました。ぼくたちを海へ連れ出してくれたのは、イルカの大好きなブッレットとジョセフィン。彼らは、今滞在しているファームの、仲良しのご近所さんです。
朝一番に、ファームに迎えに来てくれたブレットは、ぼくたちの顔を見て言いました。
『今は、イルカがたくさんいる時期じゃないけど、運が良かったらイルカに会えるかもね。』

広く開けた海に出るのは、気持ちがいい!!

ずっとこの一ヶ月もの間、ファームの生い茂った木々の中にいたから、尚更です。
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ブレットが遠くに、鳥の群れが空中に旋回しているのを見つけて、『あ、もしかしたら、あそこにイルカがいるかも。イルカと、あの鳥たちは、いつも一緒に魚を追っかけて、獲物を捕っているんだよ。』と、教えてくれました。

そちらへ向かって、ヨットを走らせて行きます。

その横を、ぷかぷかとペンギンが横切っていきます。

『あ、クジラだ!』

『イルカもいるよ!』

イルカたちは、ぼくたちのヨットに気づくと、こちらまで泳いできて挨拶をしてくれました。

そして、また、漁に戻って行きました。
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ぼくたちは、ヨットを少し離れたところに置いて、イルカたちの仕事が終わるのを待ちました。しばらくして、クジラが、イルカや鳥たちがいっぱい集まって漁をしている場から離れて、僕たちのヨットのすぐ横を泳いで行きました。どうやら、クジラは、お腹いっぱいになったようです。そのうちに、イルカたちも満足したようで、ぼくたちのヨットの所へ、遊びにきてくれました。

わぁ、イルカって、なんて特別なんでしょう。
向こうから寄って来てくれて、『一緒に、遊ぼう、遊ぼう、』といった感じで、僕たちのヨットの周りをずっと泳いでいるのです。

それで、ぼくたちもウエットスーツを着て、シュノーケルをつけて、ヨットから垂らしたロープに捕まりながら、イルカの泳ぐスピードと一緒に、海の中でしばらくイルカと時間を過ごしました。そのうちに、イルカは遊ぶことにも満足したようで、何処かへ行ってしまいました。

まるで、夢の中にでもいるような気分だったな。
いや、夢よりも、もっと、もっと、よかった!

イルカの癒しのお話は、今まで耳にしたことあったけど、本当に癒されたよ。いまでも、あの光景を思い浮かべると、心が澄んだ気分で、小さな子供と同じ、純粋な笑顔が出てくるのです。

はぁ、イルカさん、ありがとう。

 

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このイルカとの思い出は、
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ぼくたち人間は、
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さまざまな美しい住人たちと一緒に
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この地球に暮らしていることを、
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思い出させてくれます。
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