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わたしの今の暮らしに納得しているところは、気持ちが楽なところだ。
楽なこととは、自分に嘘をつく必要がないことだ。
自分に嘘をつきたくないと、それだけを思ってここまでやってきた。
そしたら、このようなこととなっていた。
おかげで、次にこの地球にやってくる方々にも、偽りの態度でもって接するようなことはないだろう。
それは、なんとも清々しいことだ。
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人間にはなんとも素晴らしい、嘘判定器が備わっているものである。
それは、24時間私たちの体の中で発動している。
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将来を憂ういまの世に、未来への解決策を探す。
AI(人口知能)のフレーズが現実味を帯びてニュースから聞こえてくる昨今、テクノロジーの発展へ希望の光を見出す。しかし、わたしがそこに抱く感情には、何かしらの恐れが内在している。体がキュッと硬くなる感覚がある。
わたしが、今までの旅路で出会った人々の自然と共に生きる素朴な暮らしのことを想う。きっと、その暮らしは、この先何世代も持続していくことだろう。そうしたヴィジョンを抱けることに、こころに希望の光が射し込んでくる。憂う気持ちは緩み、解放され楽になっていく感覚がある。
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こころとは、実に素直なもので、全て感覚に現れる。
自分に嘘をつかないとは、感覚に耳を傾け、素直で楽で在ることなのではないか。
この楽な感覚を満たすものとは、空気や水や食料と同じくに、いのちあるもの全てにとって共通の必須なものである。
つまりは、個人の本質を満たしていくものは、他者の本質を満すものであり、地球の存続を満たしていくものである。
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無論、以上はわたしが抱いている世界観からの勝手な見解である。
しかし、それはわたしというよりも、この地球上における何百万年もの人類の営みによって培われてきた、わたしのうちに宿るその感覚が、そのように告げているように思えるのだ。
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感覚と共にあり、自分に素直にありたい
・地球に嘘をつくことがないように
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健やかに生きられるように
・健やかな地球を、これからのいのちに残せるように
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暮らしの祈り
ここに記す
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山形ビエンナーレ2020、本日にて終演です。
一ヶ月もの間、ご精読ありがとうございました。
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わたしの暮らしは、つづきます。
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2020年9月27日
佐々琢哉
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今宵、月の光差し込んで
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