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painting on 2020/09/31
【photo & memory from 2020/09/23】
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#22
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* 汽車 *
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電車が通り過ぎていくと、手を止め、立ち止まり、見上げてしまう。
田畑に佇み、電車は走り去っていく。
あっ、一瞬、窓の向こうの人と目があっただろうか。
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車窓の向こう、流れていく景色に、田畑に働く人々。
電車はそのままに走り去っていくと、一定の速度が緩み出し、駅に止まる。
お婆さんが重い荷物を担ぎ上げ車掌に一礼して電車を降りていく様子を眺めていると、入れ替わりに、爽やかな笑い声が風のように吹き込んできたかと思えば、学生服の若い女子たちが後部座席に着いていた。
一つの小さな無人駅の人々の行き交いに、景色からの続きの物語を紡いでいく。
・鉄橋の下に見た田畑、屈めた身を起こしたあの農夫と、目があったように感じたのだ。
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・鉄橋の下、稲は刈られ、彼岸花が咲いていた。
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あ、電車ではなくて汽車でした。
高知では、電車でなくて汽車です。
地元の人はみんな「汽車」と呼んでいます。
動力が電気ではなくて、軽油で走るディーゼル気動車とのこと。
なるほど、それで余計に景色にも、乗り心地にも、風情があるのですかね。
地元の方々が「汽車」と呼ぶ感じにも、愛着が滲んで聞こえ、なんとも好きです。
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