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2/4(日)
Walk:Day 1
台東の街を、ついに出発。
なんだかんだで、二週間も滞在していた。
最後に名残惜しく、いつもの朝ごはん屋さんへ。
いつもの、お姉さんと挨拶を交わす。
宿をチェックアウトして、バス停へ。
バス待ちの時間にて、日本人の年配の男性と知り合い、そのまま同じバスに乗ってお話しをする。
電車駅に着いて、そこでも待ち時間があったのでおじさんと駅前の広場のベンチに一緒に座ってお話を続ける。おじさんは「ちょっと荷物見ててね。朝食を買ってくる」と言って席を離れる。しばらくして帰ってくると、「珈琲飲むよね」と言って、ぼくのためにもコーヒーを買ってきてくれていた。こんなちょっとした気遣いが、とても嬉しく、ずっとこころに残っている。
珈琲を片手にベンチに座ってお互いの話をする。おじさんの率直な自身の心境を語ってくれる様子は、なにかとてもこころに響くところがあり、それは、きっと、普段日本にいたら、自分の父親と同じ年代の男性の方のこうした言葉を聞く機会はなかなかになかったなからだと思う。旅先では、時として、いつもの役柄を外して、一人の素の人間のままで出会えることがある。おじさんは、ぼくの旅にもとても興味をもってくれていたの。最後に馬頭琴で一曲弾いた。周りの台湾人の人たちも、立ち止まって見ていた。
そして、おじさんの電車の時刻になり、「またどこかで会いましょう。応援していますよ。頑張ってね」と言って、おじさんは先に席を立った。短い時間だったけど、とてもよい出会いだった。
しばらくして、ぼくの電車の出発時刻もやってきた。
電車の移動時間は特別な時間だ。
窓も向こう過ぎ去っていく景色に、さまざまな思いが巡る。
空は、曇っている。
これからの歩き旅の天気を心配す。
目的地の駅に到着。
少し歩いて、大きな通りに出て、そこでバスを待つ。
バスに乗って台湾最南端の岬へ。
そこが、ぼくの歩き旅の出発点だ。
終着駅に到着。
バスの運転手が指さして「あっちだよ」と言っている。
どうやら、最南端地点はここから少し歩くらしい。
バスを降りたところで、雨が降り出した。
目の前にあったセブンイレブンの軒先に駆け込んで、雨具を着込む。
他にも、バイクから降りて駆け込んでくる台湾の若者たち。彼らが、バイクで台湾を旅していそうな様子だ。学生は、いまちょうど、旧正月の休みの時期なのだろう。
歩いていると雨は、小雨に代わった。
大きな駐車場には、家族連れの人たちがたくさん。
どうやら、ここは観光名所のようだ。
亜熱帯の茂みを抜けて、最南端と記した地に到着。
さあ、ここからが、ぼくの台湾歩き旅のスタートだ。
何ヶ月も前から漠然と思い描いていた旅を、ついに手繰り寄せ、現実にすることができた。
しかし、いまからがスタートなのである。
さあ、どんな旅になるのか。