◯
2/14
台湾縦断歩行
Day 11
川原の砂?泥?の上で目が覚める。きっと、普段なら「まあ、よくこんなところに寝るものだ」と自分自身でも思うことだろうに。すっかりの旅モードで、普段と感覚が変わっている。毎日毎晩お天道様の下を歩いて、野宿して、自分と外の世界との境界線が曖昧になってきている。一年も馬で旅をしてテント生活をしていた頃を思い出す。
さあ、テントを畳んで出発。
川に沿って、切り立った岩肌の山を拝みながら、北へ、北へ、と歩く。
道は、山へ、山へと。
これから、日本でも有名なお茶どころの『阿里山』の山岳エリアに入って行くようだ。山奥の通りすがりの村々では、少数民族の壁画をよく見かけた。どうやら、ここら辺は少数民族が住まう地域のようでもあるようだ。
ちょうどお昼ご飯時に、ある村を通りかかったので、食堂に入った。優しそうな女店主がメニューを持ってきてくれた。メニューに記載されている『便當』との文字に、「これはなんですか?」と質問すると、「セットメニューのお弁当よ。いろいろなおかずが食べられるわよ」と教えてくれた。ぼくは、「おお、定食ってことかしら?こんないいものがあったのか!」と喜んでこちらをオーダーした。
しばらくして、お盆に乗って出てきたご飯は、まさに定食だった。いろいろな品目を食べれる嬉しさに、「ああ、これをもっと早く知ってれば」と思いながら、喜んで食べた。
お腹が満たされると、元気がでる!おばちゃんもぼくがモリモリ食べているのをみて嬉しそうにしていた。少しの会話だったけど、地元の人とお話しできたことも元気につながった。
午後には、まさに茶畑の中を縫って歩いた。お茶ばかりか、珈琲の樹もよく見かけた。きっと、お茶の木と珈琲の木の植生は似ているのだろうか。そんなこといったら、四万十の我が家にもお茶の木があるので、珈琲も育つのかな?などと思いながら歩く。
途中、犬に噛まれる、、、。
ぼくの不注意だった。
犬が足元に集まってきていたのに、人と話す方に意識がいっていて、犬の目の前でトレッキングポールをカツンっとついてしまったのに犬が驚いて、ぼくの足首をガブっと噛んだようだ。
飼い主は本当に申し訳なさそうにしていたけど、犬好きの僕としては、飼い主に怒られる犬を見るのも可哀想だったし、ぼくにひたすら謝ってくれる家の人たちにも申し訳なくて、「大丈夫、大丈夫」とジェスチャーで必死で答えるのだった。家の人が念入りに消毒してくれたので、きっと大丈夫!
しばらくして、歩き出したけど、まあ、痛いけど、大丈夫!
歩ける。
歩けるなら、問題なし。
その晩気づいたのが、瞑想時にあぐらをかいたときに足首の傷がちょう当たるのが痛くて、しばらくはあぐらをかいて瞑想できないのが困ったなーと思ったのでした。
夕方には、椰子の森の中を歩いていた。人里離れたここなら、安心してテントを張れるだろう。いい塩梅のフラットで柔らかい地面を見つけられた。よい寝床を見つけられると、とても安心するものだ。それだけで、なんだか、誰になのかわからないけど、感謝の気持ちになる。
今日もよく歩いた。
犬に噛まれた足が、実のところ痛いけど、、、。