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台湾縦断歩行
Day 12
テント畳んでパッキングを済ませたところで、山の中、大きな声を出せそうな気持ちのよい場所なので、せっかくだからと馬頭琴を弾く。道中手に入れた折り畳み椅子も、結局活躍の場がないままだったしね。椅子はやはり重いので、手放そうかと考え中、、、。 朝一番に山の中、大声を出して気持ちよかった。
通りかかった村の売店で、バナナなどの食料を調達。ここの売店は、宿もやっているようだ。宿泊客の台湾の若い青年と女将のおばさんとお話しをする。おばちゃんも絵を書くのが好きだというので、絵を見せてもらう。素朴なよい絵だった。また、日本人のぼくにはない感性や、筆のタッチだな、とも思った。ぼくもここ数年で絵を描くようになったのだが、絵を自分で描くようになったおかげで、いろいろと興味や繋がりが広がっている。
なんだか小1時間ほどお話ししていたら、結局、売店で購入したのよりおおくのものを振る舞ってもらった。お礼にと、馬頭琴の演奏を唄を歌ったら二人ともとても喜んでくれた。朝に発声練習をしといてよかったよ。
青年が、「もう出発しなきゃ」と行ってバイクに荷を乗せ始めたので、ぼくも出発とすることにした。なかなかに前には進まないものの、いろいろな人と出会って、話せて楽しい。まあ、どこかに辿り着けなくても、ゆっくり構えて歩ける旅の行程が好きだ。
アップダウンの激しい行程だった。見晴らしのよいポイントにて、せっかくだからと、手放そうかと思いながらずっと担いで歩いている椅子に座って休憩。
そんな思っていたら、お昼にもまた、道すがらの地元の人の集まりに呼んでもらった。山の中にポツンとあった店先に有機の葉野菜が直売で売っていたので、「生野菜たべたーい。しかも、無農薬ー」と思って、「これ買えますか?」と、お店の中で会食している人たちに向かって呼んだら出てきてくれて、「もちろん買えるけど、お腹空いているんだったら、お昼ご飯私たちと一緒に食べていかない。ご馳走がありすぎて余るぐらいだし」と、みんなの食事の輪の中に誘ってもらった。もう、すっかり言葉に甘えていわれるがままに席に着くと、目の真前にはまさにご馳走が並んでいた。説明を聞くと、近隣の山菜や、自分たちが有機で育てた野菜たちだという。中には日本語を上手に話せる人もいて、びっくり。ぼくは、ここでもお礼に馬頭琴の演奏をした。みんな喜んでくれた。今日は、人前で歌う機会がたくさんあって嬉しい。
みんなとても良い人たちで、お別れが名残惜しいぐらいだった。買った野菜の何倍ものお土産を持たせてくれた。もう僕の「台湾歩き旅あるある」で、台湾のみなさんの与える気持ち寛大すぎて、担いで歩くのには重すぎるという悩み、、、、。店先までみんな揃って、お見送りをしてくれた。
さあ、歩く。今日は、特に道草を食ってしまったぞ。歩いてこその道草の楽しさであるからに、「午後は気合を入れて歩こう!」と気を引き締める。地図を見るからに、これからもっと山奥に入って行くので、あまりのんびりしていられないと、焦り始める。
もう、夕方にもなってある集落に着き、 野宿するにには少し集落から外れた山の中まで頑張って歩きたいなと思いながら、Google Mapの案内通りに道を進んでいくと、大きな公園のゲートの前で行き止まりとなってしまった。入場ゲートの女性に、地図を見せながら、「ここを歩いて抜けたいのですが」と説明すると、「もう公園は閉まる時間ですし、、、」と困った様子。そうしていたら、男性の年配スタッフが出てきて、「確かに、その道は、この先にある」「しかし、そこは、遠いぞ。」「いまからいくのか?それは、君の決断次第だ」と言われ、なんだか映画の中の長老のセリフみたいだなと思いながら、「もし、今からでも行っていいのなら、行きたいです」と告げると、「では、行け」と返答をもらう。もし、ここの公園を抜けることができなかったら、ものすごい遠まりをしないといけなくなりそうだったので、よかった、、、。「入園料を払います」と言うと、「歩いて抜けるだけなのだろ、払わなくていいぞ」と言ってもらう。「あっちに、むかって歩いて、吊り橋を渡っていきなさい」と道案内をしてもらう。
教えてもらった吊り橋までは、いろいろな建物や売店があって、まさにアミューズメントパークと言った感じだった。吊り橋を渡ったところから、人が歩けるだけの山道となっていた。吊り橋を何個も渡って歩いた。もう薄暗く心配な気持ちもありながら、久々にコンクリートの車道から解放されて土の上、木々の中を歩ける喜びがあった。
遠くで、夕焼けの空に、猿の群れや他の獣の鳴き声がずっとしていた。
一応、指定の公園内では野宿をしないようにとは心得ていて、公園を抜けられるようにと、疲れてはいたが小走りで山道を進んでいった。ずっと上り道でしんどかった。公園の境界線を越えたぐらいのところに東屋をみつけ、清潔で感じのよい場所だったので、もう疲れ果てていたこともあり、テントを張らずにこの東屋の下に寝袋だけパッと広げて寝させてもらうことにした。
深い森に囲まれて、深い眠りに着いた夜だった。