台風が去った後、空に川は澄み切って。
澄み切った空気、寒さがさらり流れ込んで。
目下に広がる清らかな、四万十川。
暑い夏、呼び込まれ、抱かれるように、洗われるように、飛び込んだ川。
背後に広がる雑木茂る、山。
寒さ漂うこの頃、山から誘いの声が降りてくる。
朝4時、瞑想1時間、縮こまる体。
太陽もまだ昇らぬ、朝5時。
寒さ立ちこめる座敷、Yogaの練習、今日はやめておこう。
(寒すぎるもの。。。)
あ、またあの声が。。。
山が呼んでいる、心がざわめいている。
Dannerのブーツに足を滑らせる。
山と我が家の臨界線。
またぐその瞬間。
細胞のスイッチが切り替わる。
立ちこめる霧。
落ち葉を踏みしめる度に、わき上がる歓喜。
ああ、声の主はここにいたのか。
お隣の梅さんと山の中でばったり。
(あれれ、勝手に縄を外して一人でお散歩していたら、飼い主が心配しちゃうよ。)
旅のお供を連れ、さらに山の奥へ。
猿にキジはどちらかしら。
雑木の間から差し込む朝日。
森が躍動する。
山のてっぺんに祭られた、土地の神。
道中で出会う古人の魂達。
ぼくは裏山をぐるりと歩いた。
てっぺんまで上って、尾根をつたって。
山から下りれば、光放つ、四万十川。
だからこそ、だからこそ、ぼくは、、、。
梅さんを探す飼い主の声。
朝の光、山の散歩道、二時間。
さあ、朝ご飯を食べて、畑に出よう。
ぼくの畑は、川と山の間にある。
光に包まれた、その場所。
もっとこの山を歩こう。
もっとこの山を知ろう。
寒さに山の声はよく響く。
梅さん、また一緒に歩こうね、またこっそりと抜け出しておいで。
そして、この山の先、とおいとおい向こうにある、あの山。
12年間想い続けた、あの山へ、あの山へ、、。