・* 料理の思考 その2 * ・

先日の、ソーラー・クッキング・かぼちゃの残りを使って、Let’s Cook !

【かぼちゃの冷製ダルカレー】

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 = はじめに =

こちらは思いつきクッキングの思考メモです。完成レシピではありません。どうぞ、お料理のアイデア帳として、お使いください。

◯もう一度、「リゾット」を作ってみようと思う。2度続けてやると、学びはさらに多い。カボチャをざるで漉して、スープとカボチャに取り分けておく。冷蔵庫には、切干大根と、乾燥椎茸を水に戻したものが、先日からの続きで残っているので、これを今日も使おう。ソーラークッキングのかぼちゃの半生具合と、この2つの素材があれば、米粒の食感をちゃんと作れそうだ。

◯畑へ、さらなる食材を調達しに行く。モロヘイヤ/四葉きゅうり/グリーンチリ/空芯菜/ニラ/ミニトマトを収穫。今日はオクラはなかった。昨日はオクラを入れ、その粘り気でもったりとしたが、今日はモロヘイヤを加えてみようか。狙いとしては、昨日よりは軽い感じにしたい。きゅうりを入れようか迷ったが、完成を冷たく仕上げる予定なので、きゅうりの食感も異物とはならないだろう。かぼちゃも半生だけに、同じウリ科として、手を取り合ってほしい。新しいサラダの境地を切り開けるのではないか。空芯菜を入れると、全体が、空芯菜の存在に持っていかれそうなので、ここはあくまでかぼちゃを尊重し、別盛りとする。

◯空芯菜は、そのままでは、青味が強いので、塩揉みをしておこう。塩がよく馴染むようにとのイメージで、葉も茎も5〜10mmほどに刻む。ボールに入れ、塩麹を手で揉みこみ、置いておく。

◯残りの食材を、適当な大きさに切ってフードプロセッサーに投入。ニラも、全体に旨みをつけるために一緒に。昨日よりも辛味をつけたいので、グリーンチリをもう一本増やして、2本投入。さらに、酢漬けの新生姜クミンシード、コリアンダーシード(この2つのスパイスはぼくの定番だ)を加える。昨日のリゾットでも、生ウコンの清涼さが効いていたので、ここにも入れることにした。それぞれの素材のつながりを生み出す目的で、太白オイルを投入。バルサミコ酢を入れたいと思ったが、酸味は新生姜の酢で十分だろう。酸味といえば、ミニトマトもある程度の大きさで残せば、それを噛んだ時に弾ける汁の酸味も、効果を発揮してくると思う。ソーラークッキングをした時、すでに、かぼちゃに塩味がついているが、それでは足りなさそうなので、塩麹を少々足す。最後にを入れ、フードプロセッサーをガーッ。

ガーッとした結果を、視見、味見して、『うん、いいよ!』。ここで、遊び心で、藍の乾燥葉のパウダーを入れてみる。これは、味というよりも、見た目の遊び心。ガーッ。かぼちゃたちの黄色い空に、碧色の星屑が散りばめられた。きっと藍が生葉だったら、全体の色に影響を及ぼしたことだろうか。生葉は味の存在も乾燥葉よりもある気がしている。

【 小話、ひとつ ◯  先日、藍のお菓子作りを研究する機会があって、そのおかげで、藍を食材としてだいぶ慣れ親しむことができた。それ以来、日常の料理にも、生葉、乾燥葉共に、藍が活躍している。今まで、藍染に憧れ、畑で何度か藍を育てたことがあるが、蒅(スクモ)を作るには、猫の額ほどの作付け面積であって、「はぁ〜、無理だ〜」となっていたが、食材となれば、同じだけの作付け面積でも、有り余るほどの収穫を得られる。藍は、新芽を摘んでも、次から次へと出てきてくれる。育てるのも簡単だし、食材としての藍栽培、オススメです。】

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(藍のお菓子のお礼に頂いた、藍のお抹茶。午後の作業の合間の一服にいただいています。お茶の点て方は知らないのですが、それでも、改まってお茶を点てて、大切にいただくという所作は、見事な空白の時間を生み出してくれます。瞑想の効果に近いような。そして、藍抹茶、美味であります◯ )

塩麹揉みして、いっとき経った空芯菜を味見。青味が見事に、旨みへと昇華されている。これを、一品として完成さ得るために、ここにも太白ごま油を加え、ある程度の重さをつけ、最後にトゥルシーの穂の塩漬けより作った、通称:トゥルー塩(じお)を投入。塩麹のベースの塩見に対して、こちらの粒状の塩は、ハイライトを入れるイメージだ。

【 小話、もうひとつ ◯ この、トゥルシーの穂を塩漬けにする技は、神戸で農家を営むniu farm の幸江さんに教えてもらいました。niuさんは、日本でも有数のトゥルシー農家さんでしょう。作り方は、紫蘇の穂の塩漬けを作るのと同じ要領です。トゥルシーも同じシソ科だし、「なるほどなー」と、目から鱗の技です。こちら、その美味しさが仲間界隈で噂となり、「トゥル塩(じお)」と、呼ばれています。ぼくも、毎年、畑ではトゥルシーを育てているので、その副産物として、トゥル塩を作って瓶に保存しています。しかし、作って満足、なかなか使わないのがぼくの性分らしくて、それをどうしたものか、もっと使いやすい形に変えようと思い、ディハイドレターでトゥル塩をカラカラに乾燥させて、ミルで挽いて、サラサラの塩としたものです。穂ずけのトゥル塩よりも、より塩らしい形状となりましたので、TRUE(トゥルー)塩と名付けた次第です。】

◯これで、調理終了。盛りつければ出来上がり。フードプロセッサーから、お皿に盛り付け、石臼砕いた氷と一緒にスープを脇に注ぐ。昨日のリゾットの一皿では、このスープに浮かべたシャリシャリの氷が、温度と味の濃淡をその場で即興で作り上げていて、印象的だった。空芯菜と、友人宅からもらった、柑橘を添える(種類はなんだろう?四国は柑橘の種類が多すぎて、わかりません・・・)。コショウ・ミルもテーブルへ。

いただきます。

うん、美味しい!昨日のリゾットとの違いは、横に添えた、塩もみした、空芯菜。混ぜ混ぜして食べていると、この空芯菜の食感が、とてもナイス! この空芯菜の緑色が加わったせいか、なんだか、気分は「リゾット」というよりも、「ダルカレー」といった気分だ。なので、「ダル・カレー」と名称変更。

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* 料理の気づき *

 普段は、15分もしないで、ピャーッと食事の支度をするのですが、お客さんが来て料理するときには、ついつい力んでしまうのか、倍以上の時間がかかってしまいます。その理由の一つに、ぼくは「手と口」を一緒に動かすことに慣れていなくて、料理の作業中に話しかけられると、手が止まってしまうのです。手が止まってしまうというのは、思考が止まってしまうということです。この、「料理の思考」と題して、料理の思考の過程を書き出してみて、自分でも改めてわかったことなのですが、料理をするときは、食材と向き合いながら、ものすごい量の情報の処理と決定をしているのです。その頭の回路を、お話の応答に使ってしまうと、作業効率が落ちるというのが、考察の結果です。

 先日、友人を招いて、我が家で夕食を共にしました。友人は、畑に野菜を収穫しに行ってくれたついでだったか、台所の窓のカウンター越しに覗き込み、こちらの料理をしている様子を眺めていました。そのうちに、自然と会話が始まりました。いっとき話した後に、ぼくが、「蚊に刺されるから、中に入っておいでよ」と言うと、彼も「そうだね」と言って、中に入ってきました。友人が、玄関を回って中に入ってくると、今度は、斜めうしろ気味の左肩越しに、会話が再開されました。そしたら、ぼくの料理の手が、止まったのです。手が止まってみて気づいたのですが、先ほどまでの窓越しに正面から話しかけられているときには、全く気にするこなく手を動かし続けていたのです。これは、自分にとって、全くに新しい発見です。この仕組みを、もっと理解したいです。そうしたら、この話しかけられる角度の作用を、空間設計として、いろいろなところで、応用できるかもしれません。

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