・* サラダの思考 その4 * ・

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本日のお料理劇場には、

黄色い花風にそよそよ、いつも涼やか気持ちよさそうな、

ヘチマさんにご登場いただきます。

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* ヘチマとわたしのエピソード *

 数年前まで、ヘチマなんて食べたことありませんでしたし、、食べられることも知りませんでした。ヘチマと言ったら、タワシでしたからね。

 ぼくのはじめてのヘチマ体験は、田舎に移住した友人宅でご馳走になった時のことです。夏の夕暮れ、畑の収穫をそのままに、庭先の焚き火で天ぷらに揚げてくれました。揚げたてそのままを、塩をつまんで、パクパクいただく贅沢。まるでツバメの雛のように、天ぷらがお皿に乗せられる度に、口をパクパクさせていると、そこに、いままでに出会ったことのない食感の、何かがあったのです。『ぷっるん、ぷっるん』の何か。びっくりして、友人に尋ねると、「ヘチマだよ」と教えてくれました。

 それからというもの、すっかり、ぷっるん、ぷっるんヘチマ好きに。しかし、(当時住んでいた)東京に戻り、お店を探せど、食材としてのヘチマと出会うことはありませんでした。それならば、自分で育てるしかありません。想いは一年巡って、翌年の夏には、東京の実家の庭に、見事なヘチマが成りました。念願のヘチマ収穫叶い、さぁ、お料理です。食材はなるべく生で食べたい趣向のあるぼくは、ヘチマも生で食べられるか、実験です。ヘチマはウリ科で、きゅうりにもよく似ているし、きっと、いけるでしょう。さっそく、そのままのヘチマをかじって見たところ、うん、生でもいけそう!。しかし、あの感動のプルプルが、鳴りを潜めている。あと、少し、青苦い感じが気になるかな。なので、塩もみをして、しばらくおいてみたら、じゃじゃーん、プルプル・ヘチマの登場です!

 ここまでヘチマの記憶をさかのぼりながら、文書を書いてみましたが、あれ?、もしかして、火を通してヘチマを食べたことがあるのは、はじめてのヘチマとの出会いの天ぷらだけかも、と気づきました。それ以来は、自分で料理して食べる機会しか恵まれていなかったようで、いつもヘチマは生だったのです。なので、天ぷらヘチマの『ぷっるん、ぷっるん』という記憶もなんだか怪しくなってきました。もしかしたら、その後のヘチマ遍歴の生ヘチマの印象が、だいぶオーバーラップしている気がしなくもないですね。なので、もう一度、よくよく、ヘチマ天ぷらのことを思い返してみれば、『ぷっるん、ぷっるん』の潜在能力に、高温の揚げ油の熱が、サッと短時間与えられたことで、『ぷる・とろ〜ん』ではなかったかな??? う〜ん、なんだか、想像の域を脱しませんね。その確認のためにも、たまには、ヘチマに火を通して食べてもいいかな〜、と思うけど、やっぱり生ヘチマが美味しすぎて、浮気できません。。。

ぼくにとって、ヘチマは、夏の特別なご馳走です。

 ヘチマの美味しさを吹聴して廻っていたら、「沖縄では、ナーベラという名前でよく食べられているよ」と数人の方々から教えていただきました。沖縄では、ヘチマをどんな風に料理するのだろう、興味津々だ。

*    *

さぁ、Let’s Cook !

【ヘチマのパスタ】

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= はじめに =

こちらは思いつきクッキングの思考メモです。

完成レシピではありません。

どうぞ、お料理のアイデア帳として、お使いください。

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ヘチマを手に思う。

やっぱり生だ!

あの、プルプルだ!

よりプルプル感を得るために、硬い皮をピーラーで剥く。

粗めに剥いて、皮の濃い緑が残る形でも、見た目が綺麗かもしれない。

そして、1.5〜2cmほどのぶつ切りにする(胡瓜のキューちゃんのようなイメージ)。

この厚みの理由は、ある程度の厚みがあった方が、プルプル感をより楽しめるため。

刻んだ、ヘチマをボールに入れて、塩or塩麹揉みをしておく(塩麹を使うと、反則技に近いぐらいに、なんでも、美味しくなる)。こうすることで、生の青苦さが消えて、さらにプルプルの食感を得られる。

この暑さだ、冷やしておいた方が美味しい。ということで、食事の少し前にこの作業をしておいて、冷蔵庫に入れておくのが良い。しかし、置きすぎて、『プルプル』の食感が通りすぎて、『しんなり』にならないように注意。

さあ、ヘチマサラダに、何を加えようかなー。

畑には何があるかなー。

と、いつものヘチマ料理の工程を頭で想像していたら(なので、まだ実際に手を動かして料理していませんよ、注意!)、『あ、ヘチマパスタもいいかも!』と思いつき、作戦すっかり変更!

もう一度、ヘチマを手にして、考える。

ヘチマで、パスタ・・・。

『パスタ=すすりたい』

(逆説:すする行為が快感で忘れられないので、もう一度パスタを食べたいという欲求か。ということは、この欲求を叶えるのが、ぼくのパスタを作る目的のひとつだ。ここの狙いは、ハズしたくない。欲求を満たし、満足感を得られるポイントはここだ)。

*

ヘチマでどうやって、すするパスタの形状を作る?

『すする=長い』

*

そして、

ヘチマのプルプルを活かすとすれば、もっちりパスタが目指すところ。

おっと、この言葉の中に、目指す方向へのさらなる指針が含まれているではないか。

この『もっちり』が指針となり、パスタの形状の答えへと導いていくれそうだ。

【小話ひとつ:ぼくの、年間消費量第一位の食材は、きっと大根でしょう。野菜をクルクルと麺状に切ってくれる、『クルル』という菜麺機を使って、大根を麺状にして食べるのが大好きです。お米、パンなどの炭水化物を食べない代わりに、この大根麺がぼくの主食となっています。大根そば、大根冷やし中華、大根ラーメン、大根パスタと、勝手なネーミングをつけて、大根クルクルLifeを楽しんでいます。面白いですよね、ご馳走ネーミングをつけるだけで、毎度の食卓が違った気分で、盛り上がるのですから。しかも、この大根麺、毎回、打ちたてですよ!替え玉もできます!】

 きっと、ヘチマさんにとっては、いつもの『クルル麺』では、細すぎるだろう。それ以前に、ヘチマの柔らかさ、水分含有量は、クルルの回転圧に耐えられない。きっと、潰れてしまって、ぐっしゃり麺になってしまう。クルルの特性は、角の立った、スッキリ麺をスパイラルに打てるところだ。

「もっちり」を表現するのは、ある程度の厚みが必要だ。

細く、小さかったら、その印象はどこか遠くへ行ってしまう。

ある程度の容積を持った、麺、麺、麺・・・。

おっ !

平打ちパスタだ!

皮を剥いたのと同じ要領で、ピーラーを使ってヘチマを縦に長細くスライスしていく。

手に持つ、ピーラーの圧で、スライスするヘチマの厚さを調整して。

薄すぎてはダメだ。

「プルプル」の振動が波形となって伝わる、ある程度の厚みが必要だ。

厚すぎたら、振動は「プルプル」から「ブルブル」になってしまう。

薄すぎず、厚すぎず、1.5mmぐらいかな。

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スライスした麺をボールに入れる。

「あれ、貴重なヘチマ一本丸ごと使ったのに、麺にしたらこれだけの量か・・・」

この後の友人宅のお食事会に持っていく予定だったので、これでは、量が足りない。

冷蔵庫のぞいたら、大根麺食べたさあまりの、スーパーで買った北海道産大根が。

おしっ、いつもの大根さんにも登場いただくか。

大根も同じようにピーラーで、麺状にスライスしていく、ボールに入れる。

ヘチマのもっちり感を得るために、塩で揉んで置きたい。

大根も同じく塩で和えておいたら、しんなりして、ヘチマの食感に近ずくであろう。

塩麹で和える。

おっと!!!

いつもの胡瓜のキューちゃんスタイルのヘチマCookingの感覚で塩を入れたら、入れすぎだ。

平打ちになった分、表面積が圧倒的に増えているので、それだけ、塩ともコンタクトが大きい。

ぐっしょりとならないように注意したい。

ということで、

かる〜く、塩麹を和えたら、この薄さもあって馴染み具合は、置かずに今すぐ食べる方がちょうどよさそうだ。

空気が含んだ感じも美味しそう!

よし、今日はシンプルにこれで完成!

お皿に盛り付けて、胡椒を振りかけ、オリーブオイルを廻しかけたら完成。

パスタといえども、バジルではなく、小粋に紫蘇などトッピングしてみようか。

【ヘチマの平打ちパスタ】の完成です!

いただきます。

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(残念なことに、これはこの後のお食事会の一皿なので、今すぐ食べられないのです。持っていた先の夕食の席では、予想通りにパスタはぐったりしていた・・・。当初は、しばらく時間を置いた方が美味しい、きゅうりのキューちゃんスタイルのヘチマの一品を作ろうと、料理を始めたこのタイミングだったからね、、、。まぁ、細かいあれこれは、作った本人だけが気にするところで、みんな喜んでくれたのですが、、、。)

あの、ヘチマのお料理劇場、まだ、続きがありまして、

「イタリアンの平打ちパスタって、何て名前なんだろう?」と、平打ちパスタのイメージをGoogleの画像検索一覧のように頭に思い浮かべていたら、その中に、平麺つながりで、タイ料理の「パッタイ」のイメージ写真が頭に出てきました。

あ!、ヘチマ麺の「もっちり」具合は、「パスタ」というよりも、「パッタイ」の方が、ドンピシャじゃん!

この、ウリ科のスッキリした感じもなんだか、イタリアっていうよりも、タイっぽいしね。

といことで、【ヘチマのパスタ】から【ヘチマのパッタイ】にネーミング変更。

面白いものですね、ネーミングひとつで、いろいろと想像が膨らんでいきます。

パッタイなら、甘辛ソースが必要でしょ!、ということになり、畑へ。

グリーンチリ、ミニトマトをモロヘイヤをゲット。

モロヘイヤを刻んで入れたら、よくあるタイの「スゥイート&サワー・ソース」のようなトロミをつけられるかな。

家の周りに5種類ぐらい植えられいるミントの中から、よりスッとする、ハッカをチョイス。

よし、これらで、ソースが作れそうだ。

台所に戻る。

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冷蔵庫から、新生姜の酢漬け、塩麹、柑橘絞り汁を足して、すべての食材を石臼へ入れて潰す。

我が家の台所では、甘い誘惑をすべて取り除いてしまっていて、「スゥイート&サワー・ソース」の甘みの部分をどうしようかと思ったが、熟したミニトマトの甘さと、塩麹の甘さで、十分だ。

酸味の部分でも、トマトが効いてくる。そのままの生姜がなかったので酢漬けのものを使ったが、、タイのエキゾチックなイメージとしては、柑橘の酸味が全面きてほしい。そして、ハッカのフレバーが吹き抜けていくのだ。吹き抜けていく印象をより効果的にするためには、赤く熟れたチリでは、ダメだ。青々しい、フレッシュなチリでないと。

【ヘチマのパッタイ】完成です!

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: 食べてみて :

・小口切りのエシャロットをトッピングしても美味しいだろうな、と以前にエシャロットが生えていた畑の場所を思い出す。

・刻みアーモンドを振りかけて、サクサクの食感を足したら、より楽しいだろうと思いながら、いざ食べる時には、すっかり忘れてた、、、。