1月20日(土)

4日目

 朝起きて、ドミトリーのベッドでいつものように一時間瞑想してから、今日の予定をどうしようかと、ポチポチとi-phoneの画面を見ながら考える。日本の友人が先住民の文化を見るのに訪ねてよかったという、蘭嶼(ランユィー)島に行くフェリーも台東から出ているようだ。山登りのパーミッションを待っているこの一週間のうちに、行ってみようと思う。

 ロビーに降りて、キッチンで日本から持って来たインスタントのバターコーヒーセットでコーヒーを淹れて飲む。宿のスタッフの若い男の子に「蘭嶼島にいくフェリーはどうやって調べたらいいのかな?」と相談すると、机でパソコンをやっていた台湾の女性もやって来てみんなであれやこれや一生懸命に調べてくれた。台湾のひとたち、みんなとっても親切。どうやら、今の冬時期でもフェリーはでているようだ。

『調べてくれたフェリーの時刻表のメモ』

 布農(ブヌン)族のビジターセンターに電話したら、今日もお昼の音楽のショーをやっているという。自転車で2時間ほどの距離のようで、それならレンタルサイクルをして見に行ってみよう!、という今日一日の予定になった。

 宿をチェックアウト。そうそう、荷物が少ないと、移動ばかりか、パッキングもあっという間。今朝のパッキングもチャチャチャのチャ~だったよ。UL化にあたって、パッキングのストレスの軽量化のことまで考えていなかったけど、こりゃ、楽だ。

 荷物の軽さにご機嫌で、地球の歩き方に乗っていた街中のレンタルサイクル屋さんに行く。「自転車を借りたい」と、Google翻訳のi-phoneの画面を見せて伝えると、ぼくにあったサイズということで、古びた自転車を出してきてくれた(まあ、見回したところ、他のどの自転車もおんなじ感じだったけど)。油が染み付いた手でこれぞ自転車屋さんといった出立ちのおじいちゃんが、ギアに油を差したり、サドルを調整したりと、熟練の技でパッと整備してくれて、「さあ、どうぞ」と自転車を渡してくれる。自転車に跨ってみると、気持ち高揚し、「あ、このまま、三田くんみたいに自転車旅してキャンプもいいかも。荷物担いだまんま自転車屋さんに来ちゃったばっかりに、バックパックにはテントも入っているしね。明日の中学校での演奏は昼すぎに帰って来たら間に合うから、時間もある。それに、一泊どこかでテントで寝たら、歩き旅のよいリハーサルにもなりそうだ」ということで、「明日の返却でも良いですか?」と聞くと、「どうぞ」と言われ、2日間分のお金を払って、いざ、出発!やった、思いつきの、自転車旅スタート!まあ、びっくり、荷物全部背負ったまま、思いつきで、自転車漕いでキャンプに行けるなんて!これも、ULのおかげだよ。こんな選択肢、いままでの旅にありませんでした。

 台東の街から北に向かって、山に向かって、自転車を漕ぎ始める。いや~、爽快。しかし、キコキコ。ありゃ、やっぱり自転車は古かったようで、キコキコと軋んだ音がしている。ちょっと漕ぎづらいな、こりゃ…(その後、台湾人、外国人ツーリスト関係なく自転車旅の人たちによく会ったのだけど、みんな、GIANTというメーカーのピッカピッカの最新のロードバイクを乗っていました。GIANTって、ぼくも日本でも見たことあって知っていたけど、台湾のメーカーだったんだね。台湾で自転車旅をしたい人は、GIANTのお店でレンタルサイクルするのがどうやらおすすめのようです(事前にちゃんと調べる人は、そんなのすぐわかることかも・笑)。自転車旅用にサドルバックも装備しているし、支店が台湾中の主要都市には必ずあって、乗り捨てができるのもありがたいとのことです。街中の古びた自転車屋さんで、おじいちゃんに自転車整備してもらいながら談笑して自転車借りるのもよかったけど、今度はGIANTの自転車を借りたいな~)。

 自転車は普段は乗らないから、なだらかな傾斜の上り道が延々と続く行程に、なかなかにしんどくなって来た。普段使わない筋肉たちが、猛烈に刺激されている。それでも、なんとかお昼のショーに滑り込みセーフ。

 ペットボトルの水をごくごくと飲みながら、ショーが始まるのを楽しみに待つ。木造りの手作りのステージに民族衣装を身に纏った男女に子供たちが出て来て、歌が始まった。CDにあるのと同じ楽曲たちで、感無量。それにしても、きれいな合唱である。村々、山々に、彼らの暮らしの中に、こんな歌声が響いているのだろうか。どんな暮らしなのだろうか。やはり、ステージではなくて、現地の人々のリアルの暮らしを見て、感じてみたいと思う。しかし、こうやって思索に耽る機会を与えてくれるものであるということが、それが自分にとってのすばらしい芸術であるという証拠だ。彼らの歌声を聞けてよかった。

『布農族のショー』

 

午後も遅くなって来たので、Google Mapで今晩寝れそうなところの当たりをつけて、自転車で散策してみる。山の上の小さな公園に、今晩テントを張れそうだ。

 もう寝る場所も見つけてしまって、さて、暗くなるまでの時間を持て余すかなと思っていたけど、近くには有料の温泉施設もあるようだ。台湾には温泉もあると噂には聞いていたけど、これは、最高である! 自転車があると、今来た道を引き返すのも苦では無い(歩きだったら、温泉のためと言えど、こんな1日の終わりに引き返して歩くことはしないな、きっと)。行った施設は、日本の温泉のイメージとは違って、男女共用の温泉プールのような作りで、水着を来た子供たちが楽しそうに走り回っていた。なにはさておき、旅路にお湯に浸かれるのは嬉しいことよ。四国お遍路中も、温泉のお湯でなんと疲れが吹き飛んだことか。

 暗くなって、野営地に戻り、テントの設営。いままでの旅で、どれだけテントで寝たことだろうか。馬で旅した一年間なんて、まる一年、ほぼ毎日テントで寝ていたからね。しかし、今晩、初めてのフロア・レスのタープ泊である。ちょっと、ドキドキ。設営が終わって、タープの中に入ってみると、「ああ、こういうことね」と、囲われている安心感もあるし、地面を感じる心地よさもある、いまのところ濡れる心配もない。「ふむふむ、フロアレス、なるほど」と、やらずにアンチのうんちく述べていても、やってみなきゃわからないものだ(実際に寝てみるまで、濡れないの?虫はどうするの?などとフロアレステントにアンチで、フロアレスの有用性が全く理解できなかったのです。実際に二カ月このテントで旅をしてみて、フロアがないことで不備なところも少々あるけど、それにも増して、ないことでの開放感や工夫を強いられるという楽しさがあると実感し、もちろん重量が軽いこともあり、「これも、ありね」と納得。いや、フロアレス、病みつきよ)。

『はじめてのフロアレステント泊』

よし、テントもよい感じだ。
これからの歩き旅が、楽しみだぞ。
よいリハーサルになった。

今日は、自転車いっぱい漕いで、温泉も入って、あとはぐっすり地面に寝転んで寝るだけだ。
宿のベットもいいけど、やっぱり地面に野宿もいいね。