◯
1/22、23、24
Day 6、7、8
宿から、朝の散歩に行ってみる。まずは、朝一番の生鮮市場へ。市場はまさに活気に溢れている。お野菜に、魚に、いろいろな肉の切り身がそこらじゅうに。台湾の食文化を、ぎゅっと、垣間見れる。20代で暮らしていた中米の市場とは、また違った彩り。人々は、屋台で朝ごはんを掻き込んでいる、老若男女並んで食べている感じが、なんとも台湾の人々の和やかな関係性を感じる。きっと、それぞれの家庭でも家族みんな仲良いのだろうな、だから、家から一歩外に出たこんな通りでも、みんながそのままその感じなのだろう、との考察。さて、みなさん、何を食べているのだろう。やはり、食に興味津々のわたし。
朝ごはんを食べない方が体調が良いのをあれだけ知っているのに、台湾の外食事情では朝ごはんにしか食べられないものがたくさんあるので(どうやら、昼や夜ごはんよりも、朝ごはんのメニューが一番の好みなのです)、煩悩に負けるわたし。朝ごはん屋さんをGoogleMapで探して、評価の高いところを見つけて、歩いてそちらを目指す。お目当ては、鹹豆漿(シェンドウジャン)。しょっぱいおぼろ豆腐のトッピングたくさんのお粥スープみたいな感じ?台北の朝ご飯屋さんではじめて食べてとても美味しかったので、ぜひもう一度食べたい。そして、これは朝ごはんの時間帯にしかみかけない代物である。
お目当ての食堂へ行くと、人がたくさん行列していた。台湾では、ご飯屋さんの前に行列を作っているのをよく見かける。そりゃ、みんな、美味しいもの好きだよね。ここのお店も行列があるということは、これは、間違いない!というわけだ。さあ、喜んで並びましょう。
念願の鹹豆漿にもう何品か持って席に着くと、宿で一緒だった毛むくじゃらの男性がお店の入り口に立っているのが見えた。手を挙げて「おーい」というと、しばらくしてから、彼もトレーにご飯を抱えてこっちにやってきた。席に着き、「君もここのお店よくみつけたねー」と言って、ご満悦そうに何かが挟んである饅頭(マントウ)にかぶりつきながら会話を始める。彼はポルトガルからやってきたとのことで、旅をよくする人で、彼のいままでの旅話しに耳を傾ける。こうして、旅人同士がすれ違いに出会う感じ、20代の頃のバックパッカー時代のようで懐かしい。30代の頃の旅は、当てもない放浪のバックパッカー旅というよりも、パーマカルチャーとか、瞑想センターに滞在とか、音楽を習うとか、とあらかじめ目的と滞在先が決まっていたので、また違った旅の質感だったなぁと思い出す。まさに、今回の台湾では、自分の旅の原点回帰のようなことをしているなー、と思う。
腹ごしらえも済んで、一旦、宿に帰る。ポルトガル人の彼も、「俺も宿に帰って、バルコニーで一服して、のんびりするよ。今日は何もしないんだ」と言っていたので、一緒に宿を目指して歩く。彼のようなお気楽な旅人、いいね。宿で会う人たち大体が、旅の予定がぎっちりでなんだか忙しそうだもの。まあ、いろいろな人の、いろいろな事情の、いろいろなスタイルの旅がありますよね。ぼくも、さあ、今日は何をしようかと決めかねている。お気楽なのか、ただの優柔不断なのか…。
うーん、それでもやっぱり街ではなくて、自然のあるところへ行きたいと思い、台東から北にある都蘭(ドゥーラン)という、サーフィンで有名な海沿いの場所を目指すことにした。サーフィンできたらいいな、とも思っている。それに、昨日会ったルースの家も、そこからすぐ近くのようだから尋ねてみたい。今日もまた自転車に乗って行こうかと思ったけど、天気が悪そうなこともあって、今回はバスにした。風がものすごい。これが、冬の東海岸の天気なのか?
バスから降りると、そこは通り沿いだけ賑わっているような小さな村落といった感じだった。けど、サーフカルチャーが通りの表面に徐々に浸透してきいると言った感じのサーフタウン!? 通りを歩いてウロウロしていたら楽しそうな宿があったので、中に入ってお部屋を見せてもらうと、安くて良い感じのドミトリーもあったので、ここに泊まることにした。宿泊客は、みんなサーファーと言った感じ。リビングで会った日本人の男の子はここに長期滞在していて、ずっとここで波乗りに打ち込んでいるとのこと。波事情のことを聞くと。「いやー、ここめちゃくちゃいいですよ。今日も朝から海に行っていて、今お昼ご飯に帰ってきて、休憩しているところ。またしばらくしたら、北のポイントにいってみます」と言っていた。
ルースに「都蘭に着いたよ」と電話すると、「しばらくしたら宿に迎えにいくわ」とのお返事。
*
ルースが迎えにきてくれて、おうちや、周辺をドライブして案内してくれた。
途中、日本人の彼が教えてくれたサーフポイントを通りかかったので、チェックしに行くと、少し遠目に彼や他の多国籍の面々が海に入っているのが見えた。波はといったら、もう、ぐりん・ぐりん、にチューブを巻いていて、「あぁ、こりゃ絶対に無理だ」と、なんちゃってサーファーを自覚しているぼくは、即座に諦める。後から聞いたら、「メロウな波でロングボードをやりたかったら、夏に来い」とのことだ。
ルースのおうちに、お庭はとても素敵だった。自分たちが設計したという家は、どの方向にも窓がついていて、家の中でも森の中にいる感覚を感じられるものだった。ルースがお昼ご飯を作ってくれている間に、旦那さんのマックスがお庭を案内してくれた。果樹がたくさん植っている。マックスは大学の教授をしていて、ルースはお医者さんで街に住んでいたが、隠居の場所としてこの土地を手に入れ、それから、何もなかった土地を、自分たちで開墾してここまでの生態系を育てたらしい。お昼ご飯には、チャーハンにスープに野菜炒めが出てきた。台湾でのはじめての家庭の食卓で頂くご飯。外食するのはまた違った、うれしさね。
本棚に福岡正信の「わら一本の革命」を見つけて手に取ってみていると、「よい本よね。読んだことある?そういう考え方や、暮らしにも興味あるの?」と聞かれたもので、自分の日本での半自給自足の暮らしや、パーマカルチャーを習っていたことをお話しする。そして、「できたら、台湾でもこうした人々の暮らしを見てみたいな」と言ったら、ルースが「それは、あなた、大当たりよ!すぐ向かいの人たちが、台湾でパーマカルチャーを中心になっているやっている人たちで、センターもあるんだから。明日か、明後日か、尋ねられるか、電話して聞いてみましょう」と。これは、まさに願ったり叶ったりだ!こうした引き合わせが起こるのは、旅が正しい方向に行っているサインだ!
夕刻になり、宿に帰る。
ここの宿には、自炊できるキッチンがついていたので、こんばんは自炊をしよう。台湾到着から地元の食を楽しんできたけど、そろそろ生野菜が食べたいと、体が欲している。通りのお店で買い物をしてきて、サラダを作る。そして、どんぶりいっぱいの葉っぱのサラダを食す。みずみずしく満たされていく感覚に、「あぁ、これ、これ。これが、欲しかったー」と体が悦んでいる。

*
パーマカルチャーの夫妻のところへは、明後日に尋ねられることになり、では、もう2日、都蘭に滞在しようとなった。山登りのパーミッションを待つのに、まだ時間あるしね。そのうちに、サーフィンもできるチャンスあるかなと思っていたけど、相変わらずの強風で、ロングボードには難しいコンディション。ショートボードのビックウェーバーたちは、張り切って朝晩に沖に出ていたけど。結局、このまま台湾ではサーフィンはやらずじまいでした…。
ということで、次の2日間は、ルースがいろいろなところに連れて行ってくれたり、お友達を紹介してくれた。
山奥に住む、アメリカ人の大工の旦那さんと台湾人の奥さん、息子たち2人の家族の暮らしはとっても素敵だった。家は、お父さんののセルフビルドで、格好良い家だった。家の周りの庭も、何年もかけて植栽したのだろうなと思うような、楽園のような感じになっていた。それでも、奥さんは「最近は、鹿になんでも植物が食べられてしまって大変よ。この間も植えたばかりの苗木や野菜がかじられてしまったわ」と嘆いていた。中学生ぐらいの息子たちが、自発的に庭に出て、鍬をもって庭仕事している様子が印象的だった。
パーマカルチャーの夫妻の家は、よくぞここまでやったものだと、感嘆!するものだった。そこらじゅうに食べられる木々に野菜、ハーブが植えられており、池も作られていた。動物たちもあちらこちらに。手作りの家も、ガーデンも、パーマカルチャーならではの有用で面白いデザインがところかしこに見られた。
こうした現地の人々の暮らし訪問は、とてもインスパイアされる。20代にさんざん旅したなかで、こうした人々に出会って、影響されて、自分でも暮らしをはじめたいと思った。それで、日本に帰ってきたのだっけ。そして、四万十に住み始めてからもう丸11年が経った。はたして自分は、今日出会ったこの家族たちのように、自分の土地にたいしてどれだけ誠実にその大地に立って暮らしているにだろうか。改めて、自分の暮らしぶりを思い直す機会となり、自分の暮らしへのインスピレーションにもなった。旅先での出会いは、財産である。
*
ルースが、「そうそう、あなた、歩いて旅したいって言ってたわよね。こんなFBのコミュニティーがあるわよ」と言って、FB上の台湾歩き旅のグループを教えてくれた。ぼくがFBの使い方がよくわからないのでマゴマゴしていると、「こんなのも、見つけたわよ」と言って、誰かが自分の歩いた行程とルートを記録した台湾縦断のMAPを、i-phoneの画面上で見せてくれた。そのルートは「切西瓜」と名前がつけられてて(「スイカを真っ二つに切る」という意味かな?)、まさに台湾のまん真ん中を北から南までを山岳地帯を突き抜けながら結んだルートだった。
その地図を見て、「おぉ、これは!」と、こころが大きく反応している。
そうそう、都蘭に来て、ルースの車で海岸線沿いをいろいろ連れて行ってもらいながら気づいたのだけど、『還島』という文字と一緒に自転車の絵がついている標識を道路沿いによく見かけた。どうやら、台湾の島を一周(環)するルートが整備されているらしく、多くの人たちが自転車で島一周の旅をしている見たい。もちろん歩く人も。ぼくも台湾を歩きたいと思ったきっかけは、四国お遍路で歩いた時の素晴らしかった経験からだ。それだからか、『台湾でも歩き旅をしたい=台湾を一周したい』と、何も考えずに台湾での歩き旅をイメージしていたところがある。
けど、実際に、還島のルート沿いにある都蘭に来てみてからの数日で感じたことは、
・この時期、海岸線沿いはとにかく風が強いこと(西海岸にいったら違うのかな?)
・それに、歩いていて、海沿いの沿道に日陰ってあるのかな?
・還島となると、海沿いばかりを歩いて、山側にはいけないのでは?
・海沿いの道路はどこも大きな幹線道路で、とにかく車の交通量が多そうだ
・海側はいつも開けていて、それなりに人工物が多くて、ぼくが思っているような田舎の人々の暮らしに触れる機会が少ないのでは?
との懸念を抱いていたのです。
というか、あんまりこころがワクワクしないままだなー、と思っていたのです。
けど、台湾の真ん中を北から南まで突っ切るルートなら、山に海に、街に田舎に、さまざまな台湾の表情を知れるのではないかと思い、「これだ!」と思いました。「これだ、これだ!」と、ついに、こころが踊っています。
ということで、ぼくの「台湾を歩いて旅したい」のルートをついに見つけました!
ルース、こんなスペシャルな宝の地図をありがとう!

