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台湾縦断歩行
Day 16
朝は、宿泊代に含まれている朝ごはんにブッフェをいただいたりしながら、宿にて少しのびりとした。
午前中に何も食べない方が体が動いて調子良いのだが、食べられる機会をスルーするのがもったいなくて、ついつい食べてしまう。食後は、二階のテラスにてしばし、台南からやってきていた女性とお話をした。彼女は、山登りチームの一団で来ていたのだが、山にいくことをやめて、今日一日ここで一人ゆっくりとすることにしたようだ。それも、なんだか素敵な時間の使い方だなと、団体の喧騒が去った後の静けさに思った。
日本語好きだという彼女と日本語でお話ししたり、ぼくの歩き旅の話をしたり、最後には馬頭琴を弾いたら、とても喜んでくれて、「あなたとお話しできたことが、今日、山に行かないことにしたり理由だったんだわ」と言ってくれた。
さあ、ぼくも出発だ。
目指す方向から少し遠回りになるが、卓さんがお勤めしている中学校の前を通って行くことにした。いまごろ、卓さんは生徒たちの前に立って授業をやっているのかな?お礼とお別れの気持ちを込めて、門の外から校舎を眺める。
今日は、大きな川沿いの、大きな車道沿いをひたすらに歩いていく。
道すがら、たくさんの犬たちに会った。そういえば、先日は犬に噛まれたのだったけかなと忘れていたぐらいに、自分は犬がかわいく好きなようである。
大きな道路沿いには、なかなかに日陰もないもので、農作業小屋の軒先の日陰に腰をおろして休憩させてもらった。宿のおじいちゃんが手土産に持たせてくれた『仙桃』という、はじめてお目にかかる果物を口にしてみると、とろーりとした焼き芋のような、カスタードのようなびっくりのお味だった。南国の果物の味。日本の風土では、この味は作れないだろうな。とにかく、びっくりと感動する。元気になった!
午後も、もくもくと歩いた。
今日は、水里という大きな街まで歩いて行こうと、地図を見て決める。
途中に『蛇窯』という、台湾最古の陶器を焼く窯の記念館があったので、見学する。なかなか見事な窯と展示だった。窯の脇で、若いカップルが陶器の体験教室をやっている姿が可愛らしかった。
夕刻前に、水里へ到着した。
昨日の温泉での療養に味をしめてしまい、「街だから、マッサージ屋はないものか」とGoogle Mapを見て探すと、タイマッサージ屋さんがあった。お店に入ると、とてもかんじのよい若いタイ人の夫婦と小さな子供たちがお迎えしてくれた。「これは、いい感じ」と思い、マッサージをお願いする。旦那さんがマッサージは、直感通りにとってもよかった!うーん、また明日も来たいかも、と思えるぐらい。
マッサージ屋を出て、足取り軽くに街の中心を目指す。卓さんに「今日は水里までたどりつきました。どこか、よい宿はありますか?」とLINEで聞くと、「ここが安くていいよ」とすぐにお返事をくれてた。
その宿に行ってみると、部屋が一つだけ空いていて、しかもその部屋は畳の煎餅布団の、浴槽まである、まるで昭和初期の頃のようなしつらえのお部屋だった。「ぜひ、この部屋に泊まりたい」とチェックインを済ませ、部屋に荷物を降ろして、夕飯を食べるために街へ散策へ出かける。
街頭に照らされた通りは、まるで映画の「3丁目の夕日」のセットの中にでも入り込んだような気持ちになる。なんだか、タイムスリップしたような気持ちで、わくわくと最高に楽しい気分になった。
この街、大好き!