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台湾縦断歩行

Day 17

朝は、大好きになったこの街を、宿のチェックアウトの時間の10時まで散策することにした。

街の朝の時間が好きだ。
朝市があれば尚更だ。
市場の活気が、大好き。
人々の暮らしの一端を感じられるからだろうか。

そして、見たこともない食材に出会うワクワクもある。
その食材たちは、畑からの生産者、はたまた海川山からの採取者たちが直接売っている姿がよい。彼らの笑顔に息遣いを感じられる。そして、品々が、プラスチックの袋に入っていない山盛りに積まれた姿に、こちらの感覚もより触発される。

とにかく、市場が好きなのだ。

そして、食べ歩き。
食べ歩きながらに、朝ごはんもたらふくに食べた。

宿に帰って出発の準備。

この宿も、大事に手入れがされながら使われてきた、古き良き味わいがあって、なにか宿全体にあたたかさを感じらられた。台湾の地方をまわりながら、日本の古き良き時代、それは自分が生まれる前の戦前を、懐かしんでいる自分がいる。自分が生まれる前の時代で経験として知りもしないのに、『懐かしむ』というのもおかしな表現だが、しかし、なにか、心の奥の郷愁に触れるしっくりくるものがここにあるのだろう。旅して、ある場所に出会って、ある人に出会って、自分の心の内のこんな場所に立ち帰れる瞬間が尊い。だから、旅は意味があるのだろう。

***

出発す。

なんと、今日は歩き旅の最後の1日となりそうだ。つまりは、目標としていた日月潭に、今日中に到着できそうなのである。台湾縦断歩行旅と言っていたが、旅程の日数の関係で端から端までの全部の工程は歩ききれなそうだったので、ちょうど半分ぐらいに位置する日月潭をゴールと設定した。この湖は、日本にいた頃より名前を知っていて行ってみたいと思っていた場所であるので、「ここに歩いてやってきたぞ」と思えてゴールするのは、よい区切りになるだろう。

地図を調べたら、大きな車道沿いを歩かずに、旧道の山道でも日月潭を目指せるのを発見。なるべくなら、山の中を歩きたいとその道を選んだら、途中から大変なことになった、、、。もう、人が歩くことがめっきりなくなったような道で、枝や草に道が塞がれている箇所が多数で、かき分けて進まなければ行けなかった。

山のピークを逆側に越したところで、日月潭が眼下に現れた。
「おお!」と、ずっと目指していた場所の出現に感動し、もう一踏ん張りと己を励ます。


しかし、山道はなかなかに険しく道も迷い、想定よりもかなり時間がかかった。
ようやくに、湖畔沿いの車道に合流し、日月潭までたどり着いた!
しかし、最終ゴールのに目指している湖沿いの街は、まだまだ数時間かかりそうである。
まあ、頑張って歩こう。

しかし、とにも、目標にしていた日月潭の湖畔にまで到着した喜びと、安堵感を感じている。湖畔の様子に、「ここで一度水浴びができたら、リフレッシュして、残り最後を歩ききれるだろうに」と思う。自然の中に水を見ると、とにかく浸りたくなってしまう性分なのである。そして、自然の生水を浴びると、著しくに体が元気になる(映画『美しきみどりの惑星』の登場人物のような気持ち)。しかし、なかなかに、水際まで降りられる場所を見つけられずに、無念な気持ち、、、。そして、やっと、場所を見つけて泳いだけど、なんか、あまり綺麗じゃなかった、、、、。まあ、いいや、しょうがない、、、。

最後の数時間は、もう、真っ暗な中、ヘッドライトをつけながら火事場のくそ力で歩いてく。いつもだったら、途中でもう茂みのなかにテントを立てていただろうが、もう少しでゴールなので頑張って歩きたい気持ちと、ゴールのご褒美に宿に泊まって、レストランでおいしいものを食べたい気持ちが勝っている。

そして、遠くに見えていた、湖畔の街の灯りがだんだんと近づいてきた。と、思っていたら、大きな大きなビルのホテルが立ち並ぶ一角に導かれて行って、まるで異次元に入っていってしまったようだ。日月潭は標高の高い山間部にあるのに、この街の発展の具合に面食らった。人気の観光スポットと聞いていたけど、ずっと山中を歩いてきた自分にとったら、あまりの異世界具合にびっくり!こんなに有名な観光地だったからこそ、ぼくも日本にいたか頃からその名前を聞いたことがあったわけだ。

まあ、とにかく、ゴール!

宿をとって、ご飯屋さんもどんどんと閉まりだしている時間なので、繁華街の方へ行ってみる。まあ、なんて観光地!繁華街は避けて、裏通りにおばあちゃんがひとりでやっている良い感じのご飯屋さんを見つけて、念願通りにゴールの祝勝の夕飯をたらふくに食べる。宿への帰り道にはコンビニでスイーツも買ったりなんたりして。

ということで、これにて台湾歩き旅終了!

正直、日月潭のあまりの観光地ぶりに「なかなか馴染めないなー」と思っての最終日の晩となり、思い描いていたゴールの感動が味わえなかったけど、まあ、それも想定外の旅の一つとなった。そして、とにかくゴールしたぞ!(まあ、この「馴染めない」とはぼくのこの時の歩き旅の趣向だけであって、日月潭の場所自体はとってもきれいな場所で、それこそ友達や恋人や家族と一緒にいったら楽しいだろうなぁ、、、。)

ということで、これにて『台湾縦断日記』も、おしまいです。


***

地図に残った、残り半分の道も、また台湾にやってきてぜひ歩きたいものだ。四国お遍路の時も道中楽しみすぎて、一回では終わらずに、翌年に続きから歩いて一周したものな。四国お遍路も2回に分けたことで、2回目は、前回の経験があるから、荷物にしろ。旅の道を見つけて行く感覚にしろ、アップデートしてから旅を仕切り直せるたのがよかった。もういちど台湾を歩くとしたら、どんな旅になりますでしょうか。

この後、残りの台湾の滞在の日々は、いわゆる観光をしてみようと思う。台南が古い街並みが残っていて、ご飯もおいしいと聞くのでたのしみだ。ヴィパサナー瞑想センターに奉仕にも行く予定。世界中のヴィパサナー瞑想センターを巡るのも、旅の楽しみの一つだ。そして、この旅で出会った人々も訪ねてみたいと思っている。あ、そして、日本に帰る直前には、台北でライブコンサートもするよ!

また、台湾に帰ってきたいです!

あと、最後にもう一回、『まとめ』の日記を書いてみようかな。