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『料理をしない料理教室』

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この料理教室ではみんなで美味しい一品作るというよりも、味の構築の仕方をみんなで考えていいきたいと思います。

ぼくはよくも悪くも全く料理を習ったことがありません。小さな頃、好き勝手に料理をしていたのをよく覚えています。料理というよりは、半分は好奇心からの実験です。例えば卵焼きにチョコレートを入れてみたりとか。頭の中で、「これとこれを組み合わせたら、この要素とこの要素が組み合わさって、こんな風に絡み合って、こんなことになるんじゃないか!?」とイメージをするのです。

ぼく自身が、どうやって味を構築していくのかと、あえて言葉にして説明してみると、「空間を埋めて行く」という表現が近いかもしれません。立方体の空っぽの箱を思い浮かべてみてください。そこに何をつかってスペースを埋めていったら、中身の詰まった手応えのある魅力的なキューブになるのかと考えます。スカスカすぎると、軽くて何となく物足りない。ずっしり重すぎても、心地よくありません。

立法体の中の空間の埋め方には二通りあります。一つは、バケツの水の中に青い絵の具たらしたら、水の青さが濃くなっていくように、濃度を濃くして密度を高めていく埋め方。もう一つは、バケツに石を入れて、個体がそのまま残る空間の埋め方。

鍋の中身を味見して、「あ、ここのスペースにまだ余白があるから、これを足そう。」とか、「あ、全体的にバランスはよいけど、何となく希薄だ。それなら、甘みを足して濃度を上げよう。」とか、「あ、ここのスペースはあえて余白を残して、そこにアクセントでこの食感に味のサプライズを潜ましておこう。」などとイメージします。

料理教室では、こんな感じで味を一つ一つ足して立方体を作り上げていく作業を、みんなで行いたいと思っています。

教室の後はみんなで、語ったことの内容を実際にご飯を食べて、舌で味わってみましょう。

料理のための『感覚』と『考え』に焦点をあてたワークショップです。この『感覚』と『考え』に意識の光りを当てていくことで、より創造の幅が広がっていくことでしょう。

 

 

 

 

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持ち物

ノート、鉛筆、エプロンと頭巾(料理している気分を味わいたい人)

 

 

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