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*:::::谷水現る:::::*

午後6時過ぎ

雨に風が、猛烈に吹きつけてきた。

暗くなる前に、家の周りを一回り徘徊する。

どうやらこの猛烈な風では、昨日畑にこしらえた菊芋とたかきびの支えは、役に立たなそうだ。

この雨の中、薄暗くもなってきていて、今からやり直す気持ちにはなれず、申し訳ない気持ちで畑を離れる。

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畑から石段を登り、母屋を廻って裏山の方へ行ってみると、谷水が現れていた。

普段は、流れがないのだが、大雨の後にだけ現れる谷水だ。

「湧き水を汲みに行かなければな」と思っていたので、自分の家のすぐ後ろの山からの谷水を汲めることは、嬉しい。

いっとき水が流れて谷が綺麗になった、明朝に汲むことにしよう。

けど、雨の量によっては、排水管への排水が間に合わず、家の前が洪水となってしまう恐れがある。

少し、心配だ。

この集落に上水が通るまでは、谷水を大きなコンクリートの水槽に貯めて、生活用水をまかなっていたようだ。

この家と裏山は、随分と長いこと見放されていたので、谷には落ち葉や腐葉土が溜まっていた。ぼくが越してきてからも、一度も谷に水が流れるのを見たことがなかった。

 ここに住み始めてから数年経った頃、畑のために腐葉土が欲しく、ようやく谷の掃除に取り掛かった。数年分の滞りを取り除く作業だったので、なかなかに大変だったのだが、それからというもの、大雨の時には水が流れるようになった。

はじめて流れが現れた時には、本当に嬉しかった。

そして、その流れは、まるで自分の腸内が洗浄されたかのようでもあり、清々しい気持ちだった。

一筋の流れが通ったことで、空、山、谷、ぼくの暮らしの場、つまりはこの家、そして、石段の下にある畑、その先の四万十川が繋がったような気持ちになった。

この繋がりは、ここでの暮らしを、より豊かな気持ちにしてくれるものだった。

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日中は、昨日から取り掛かっている窓作業に専念した。

細かいところをもっと調整したいのだが、とりあえず、梁の間にはめ込んで、雨風をしのげるようになったので、ひとまず安心だ。

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風をもろに受ける納屋の窓ガラスにも、体裁が悪くなるだろうけど仕方ないと、養生テープを貼り付ける。けど、貼り付けてみたら、幾何学模様見たいで、これはこれで、悪くないかも。こちらも、これで一安心。

おかげで、夕の瞑想は、窓の向こうで雨風吹き荒れる中、気持ちはとても静かなよい時間だった。

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自然豊かな「暮らし」の素晴らしさを伝えたいとの、この日記だったのだが、台風の到来により自然の厳しさ一面を伝えることから始まったようだ。明日の朝の様子は、どんなになっているだろう…

今日は、これからビエンナーレ参加作品としてこの日記を綴っていくにあたって、その想いを改めて整理して、言葉にしました。ぼくの「暮らし」への想いを、綴っています。

ぜひ、一読ください。

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みなさまも、どうか、無事に今晩を過ごせますように。